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baserCMSプロジェクトのコンセプト
オープンソースを通じてIT文化の発展を目指す
次の文章は、2014年に設立された baserCMSプロジェクトを支援するNPO法人ベーサー・ファウンデーションの設立趣旨書より抜粋したものです。
企業・個人が世の中に対して情報を発信していくための手段として、Webサイトは非常に有効なツールとなっていますがそのWebサイトを構築・運営する現場は、さまざまな問題や課題を抱えています。
Webサイトの構築や運営の予算は人件費削減等を目的とする業務システムの開発と異なり、先行投資となる広告予算から捻出されることが多いために必要な予算を確保しづらいことが多々あります。
現状においてその少ない予算の中でWebサイトの制作者は、依頼主の要望を実現するためにコスト圧縮の一環として無償のオープンソースを利用するなど、さまざまな工夫に取り組んでいます。
その利用においてさまざまな技術情報・ノウハウ等の収集・蓄積を余儀なくされ、長時間労働になるなど非常に過酷な労働状況となっています。また、運営を行う企業や個人は事業を継続していくにあたり、多くの情報を世に提供していく必要性を認識しているのですが、IT技術者を社内に雇用しておくことが予算的に難しく、Webサイト制作会社に更新作業を外注することがほとんどでした。
これらの問題や課題の中、構築予算と同様Webサイトの運営にかける予算の確保が難しいという現状もあり、社内でWebサイト更新を行うためにコンテンツマネージメントシステム(CMS)の有用性が謳われています。
コンテンツマネージメントシステムとはWebサイトの更新システムですが、これを利用することによりWebサイトの制作知識がなくともWebサイトの運営を行うことができるようになり、これによりすぐに公開したいような即時性のある情報は外注会社を通さず即座に公開することができます。
ただしコンテンツマネージメントシステムは非常に高価なものが多く上記に述べるような低予算の中では、低価格または無償のオープンソースを利用されていることが多いのが現状です。
特にオープンソースの場合海外製のものがほとんどで、一部のものを除くと日本語ドキュメントも乏しく情報収集だけでも敷居が高いものなってしまいます。また、運営者側も運営に最適化されていない複雑な管理画面のインターフェイスに苦戦することも少なくありません。
NPO法人ベーサー・ファウンデーションでは、「日本製」、「シンプル」というキーワードを持って、特に技術的なノウハウを「土台」として提供することでこの問題を解決したいと考えています。
そこで、すでにオープンソース化している「baserCMS」というCMSパッケージを中心に、「オープンソース」という世の中のノウハウを集約できるインフラを利用することで、制作者においては情報収集及びWebサイト構築の簡易化・簡素化、運営者においては構築コスト・運営コストの圧縮を行い、Webサイト業界に貢献していきます。
また、この目的を達成するためには、baserCMSというパッケージ自体が流通し、ノウハウの集約にご協力して頂ける方々に参画していただく必要があり、会員も含め、多くの方々のご協力が必要となります。
このような活動を行うにあたって、公正かつ透明性の高い運営を行い、社会的な信用を得て幅広く活動をしていく上で法人化は急務であると考えます。
ただし、この会はすべての会員がボランティアとして参加し、事業目的も営利目的とはしていないので、会社法人の形式は似つかわしくありません。
よって特定非営利活動法人の設立が望ましいと考えています。みなさまのご理解と幅広いご支援をお願いいたします。
さて、このプロジェクトの主役であるbaserCMSは、2008年の夏頃より、次のような背景やコンセプトを元に開発が開始され、 2009年12月9日に初版となるβ版がリリースされました。
背景
制作会社の制作事情
- 中小規模WEBサイト(コーポレートサイト等)をメインとした制作会社は、プログラマー不在のため、プログラム部分を外部に委託したり、自社でオープンソースを組み合わせてツギハギだらけのWEBサイトを構築していることが多い。
- その場合、テンプレート形式や、配置場所がバラバラでWEBサイト構造が複雑になりメンテナンスが複雑になる。
- 複数のオープンソースのアップデート情報にアンテナを張る必要がある。
- 新しいWEBサイトを構築する場合、流用しにくく、一からの構築となることが多い。
中・小規模向けのシンプルなオールインワンパッケージが少ない
- オープンソース自体は高機能なものが多く、有識者にとっては便利になっているが、逆に高機能すぎて使いきれていないユーザーも多い。
- 小規模のWEBサイトを制作する場合、プログラムは最低限のシンプルなものが望ましいが、適したものがない。
ドキュメントの問題
- 和製のオープンソースは少なく、日本語ドキュメントがあったとしてもプログラマー向けの内容となっていることが多い。
Webシステム開発上の問題
- CakePHP等のオープンソースフレームワークを利用する場合、コア部分は完全に分離されているため、 コア部分の流用は簡単だが、アプリケーション自体の自社のノウハウを蓄積、流用できる仕組みを確立できていない場合が多い。
基本コンセプト
- 中小規模の WEB サイト制作現場にちょうどいい CMS を提供する。
- 中小企業、フリーランスがデザインテーマやプラグインを販売するための土台を作る。
- Webアプリケーション開発プラットフォームとして開発の土台となるライブラリを提供する。
キーワード
- ちょうどいい、やさしい、お手頃、スタンダード、あまりいじりたくない人へ
- やさしい → デザイナーに、クライアントに、レンタルサーバーに
ターゲット
- Webサイトを運営しているが、CMSを導入していない一般企業
- プログラムに精通していない、または、システム担当者がいないWEB制作会社(デザイン会社等)、WEB制作系のフリーランス
- 広告代理店、Webコンサルティング会社
- CakePHPを利用しているシステム開発会社
baserCMS概要
CakePHPをベースとしたWEBサイト基本制作(開発)支援プロジェクト
- ホームページにWEBプログラムを簡単に導入できるスタートアップキットパッケージ
- プログラムを基本部分と拡張部分に分けているので、拡張部分に影響を与えず、基本部分のバージョンアップができる。
- 日本語ドキュメントが豊富なCakePHPをベースとしているので、WordPress等の他のオープンソースより比較的拡張が容易。
- CakePHP自体がオープンソースとしてかなり普及しているため、開発に採用している開発会社が多く、利用者は安心して導入することができる。
一般的なWEBサイト(コーポレートサイト等)に必要と思われる基本的なプログラムを初めから提供
- SEO対策を行うことを前提として作られている。
- コーポレートサイトに必須となる以下のプログラムをプラグインとして最初から提供。
- メールフォーム(お問い合わせ受付用)
- シンプルブログ(新着情報掲載用)
- フィードリーダー(新着情報の更新情報をトップページ等、任意の場所に表示)
- WEB制作に必要なものがパッケージングされていることにより、一つのWEBサイトを制作するにあたり、色々なオープンソースを組み合わせるわずらわしさがなくなる。
拡張が容易な管理画面
- 認証機能、ユーザー管理、プラグイン管理等を標準装備。
シンプルなインターフェース
- 運営者の負担をかけないため、基本部分は、一般に提供されているブログ等よりも余計な機能を省き、シンプルなインターフェースとしている
導入が容易なインストーラー
- インストール時にサーバー環境のチェックが行え、ほとんどのレンタルサーバーで利用できる。
- インストーラーで設置後は、静的ページを配置し、プログラムのテンプレートをデザインにあわせて編集するだけ。
データベースサーバーがなくても利用可能
- ファイル形式の簡易DBを備えているためデータベースがなくても動作する
デザイン会社がメンテナンスを行うことができる
- デザイナーがテンプレートで比較的簡単にデザインをカスタマイズすることができるので、細かい文字修正、レイアウト調整でプログラマーに依頼する必要がない。
発展型
- デザインテンプレート制作者が有償販売を行える場を提供
- プラグイン開発者が有償販売を行える場を提供